ブルクミュラー曲目解説 その1

フリードリヒ・ブルクミューラー(1806~1874)

「25のやさしい練習曲」作品100 は、ピアノを学んでいく上で大事な、基礎となる課題が順序良く織り込まれています。ピアノへの導入期を終えた方の教材として最適で、楽しく感情を込めて弾ける曲集としてみんなに親しまれてきました。ピアノ上達のためには第1番から順に弾いていくことをお勧めしますが、どれか一曲を取り出して弾いても十分に効果があるでしょう。
指づかいの指示は作曲者が書いたと思われる指番号の記入に止めました。指づかいを守ることでそれぞれの曲の課題がよりよく達成されることでしょう。

1・素直な心
この練習曲集の初めにふさわしく、ハ長調の主要な和音を左手にもつ、前奏曲とでもいうよなおだやかな曲です。これからの長い道のりを「素直な心」をもって歩んで行くように、という作曲者からのメッセージだと思って、しっかりと粒のそろった音で弾きましょう。

2・アラベスク
「アラベスク」とは、建築と絵画の分野ではアラビア風の華麗なツル状の装飾のことです。音楽ではそれを暗示するような豊麗な恩恵や動きのある旋律の曲が多いです。この『アラベスク」はイ短調の響きと早い16部音符の動きによって異国情緒を醸し出しています。

3・牧歌
この曲はルネサンス期に発達したパストラールの様式を取り入れています。羊飼いの吹くつの笛や草笛の音を想像しながら、右手のメロディーを柔らかく歌わせましょう。左手はパストラール様式の典型的なボルドゥンとよばれる伴奏です。

4・小さな集まり
はじめは三人で、すぐに四人でお話をしているような軽快で楽しい曲です。スタカートとレガートの両方の奏法が入り混じる3度の和音は条項と加工でそれぞれ異なった指づかいが記されています・この指示に従えば、上行3度も容易に弾けるでしょう。

5・無邪気
明るく優雅な雰囲気の3拍子のこの曲は、4オクターブ以上の広い音域を持ち、楽譜上には様々な種類の音符と記号が記されています。作曲者の意図する音楽を楽譜上から読みとって、丁寧に、表情豊かに演奏しましょう。

6・進歩
「進歩」という表題通り、このきょくをてにすることができるようになった今日までの進歩を振り返ってみてください。両手で音階を弾く難しさを乗り越え、シンコペーションのリズムに乗り、美しいハーモニーをじっくり味わいながら演奏してください。

7・清い流れ
小川のせせらぎを表している3連符の動きをよどみなく弾きましょう。そのために必要なしなやかな手首の動きを是非、体得しましょう。親指の奏でるメロディーを大事にしながらも、それだけが目立たないようにバランスを考えることが大切です。
8・優美
優雅な装飾音を伴った美しい曲です。はじめは装飾音なしで、音楽の骨格となる音だけを弾いてみることをお勧めします。また指づかいを守ることで、装飾音を楽に、美しく弾くことがでします。音楽のおしゃれを楽しんでください。

9・狩
遠くから近づいてくる狩の一団。ホルンのように響く序奏に始まり、活発な狩の様子が描写された変化に富んだ曲です。豊かな想像力で物語を考えながら弾くと良いでしょう。右手の跳躍と連打は指づかいを正しく、外れないように丁寧に練習しましょう。

10・やさしい花
花を愛でるように、やさしく、やわらか区、デリケートな表現が要求されます。両手の旋律線は多声音楽への準備とも言える動きが出てきます。記号をていねいに読んで、美しいメロディーを心ゆくまでうたいあげてください。

11・せきれい
セキレイは尾の長いスマートな鳥です。セキレイの飛ぶ姿や、枝に止まって尾をピクピク動かしている姿を想像しながら。明るく軽快に演奏しましょう。和音を転回した形で弾くことは意外に難しいものですから、鍵盤の位置を確かめることをお勧めします。

12・別れ
イ短調で書かれているこの曲には、深い悲しみと嘆きの感情が速いテンポで激しく表現されています。中間部のハ長調の美しいメロディーは昔を懐かしむようにあたたかな気持ちで弾きましょう。そして再び悲しみの中でこの曲は終結します。粒の揃った音で弾きましょう。

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